http://kamapat.seesaa.net/article/12353574.html
扇町公園での住民登録を求める山内さん裁判の判決がきのう、大阪地裁で下されました。
全面勝訴です!
以下、ご報告と、引き続きの支援の呼びかけです。
<当日レポート>
1月27日、朝10時から靱公園現地で行われた靱・大阪城公園のテント強制排除に反対する集会と対市庁デモを大阪・東京・名古屋の仲間たちとともにやり抜き、そのまま大阪地裁10階1007号法廷へと傍聴に押しかけた。30席程度の傍聴席はすぐ満杯になり、他の仲間は廊下で待ち受けるかたちとなった。山内さんは、最前列に座る。
昨年3月の提訴からほぼ1年、発端となった2004年2月の大阪府警による釜パト不当弾圧(仕事探し、年金受給などのために住所が必要な野宿の仲間に自宅アパートの住所の名義を貸していたメンバーがいきなり逮捕され、山内さんを含めた仲間数名も長時間の取り調べを強要された。のち、不起訴)から2年。思いもよらぬ、長丁場の取り組みとなった。
正直、「あまり期待はできないけど、いい負け方ができれば」などと思っていた。
昨今の情勢にくわえ、靱・大阪城の行政代執行手続きの中止を求める要請が地裁に却下されたばかりという状況で、とにかく裁判所の判断はあてにできない、という思いが染み付いていたのだと思う。
着席してから、外の仲間に裁判報告を伝えるための手書きの紙(ドラマとかでよく見るやつ)をつくるのを忘れてたな、と思い、すこし横に座っていたMに声をかける。
「あの『無罪!』とかいうやつ、つくるの忘れてた」「あー、そうだ」と、書きはじめてくれた。
山内さんは、「無罪はちがうだろ!」と笑っている。
見ていると赤マジックででかでかと「不当判決」という書き出しだ。(やっぱ、負けると思ってるのかよ)と苦笑。そのあと「勝訴」というバージョンもでき、なぜか私に手渡される。
そうこうしているうちに、裁判官3名が入廷し、判決がはじまる。
主文
1.被告が原告に対し平成16年4月20日付けでした住民票転居届不受理処分を取り消す。
2.訴訟費用は被告の負担とする。
主文の朗読がはじまると、すかさず永嶋弁護士が「勝った、勝った、勝った!」と小声でつぶやく。
文章をぜんぶ読み終わらないうちに、傍聴席は「やった!」「すごい!」とのどよめきで包まれ、みな立ち上がり拍手の嵐となった。私は、いまだに何が起こっているのか信じられない。
みずからの手で野宿者追い出しを繰り返し、数多くの仲間を路上死に追い込んでおきながら、裁判では「テントはいつでも強制撤去できるのだから、住所としては認められない」という主張を繰り返してきた大阪市の担当職員・弁護士に対し、「ざまーみろ!大阪市!」の野次を飛ばしつつ、「勝訴!」の紙を持ってみなで廊下へなだれこむ。
「どうなったの?」「勝った!」あとは、ひたすら拍手と歓声。
こんなの、ほんと久しぶりだ!
<判決内容について>
今回の判決では、「一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解される」としたうえで、山内さんが扇町公園のテント村を「起居の場として日常生活を営んでいる」ことを認め、全国から寄せられた裁判支援のハガキ・手紙を含む多数の郵便物を受け取っていることも証拠として取り上げられました。
そして山内さんのテントを「占有権限を有するものとは認められないとしても、同所在地は、客観的にみて、原告の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心として、生活の本拠たる実体を具備している」と認め、「法にいう住所とは、生活の本拠を指すものであるから、転居届に住所として記載された場所が客観的に当該届出をする者の生活の本拠たる実態を具備していると認められる限り、市町村長は、当該転居届を受理しなければならない」としました。
さらに踏み込んでいるのは、テントなどの「種類、構造、規模」などは客観的な生活実態を判断するための一資料にすぎず、「設置や撤去が容易な簡易工作物であるからといって、その一事をもって直ちに当該場所が生活の本拠たる実体を欠くことになるものではない」としているところです。
そのうえで山内さんのテントはさまざまな構造物を組み合わせて設置されており、地面に固定されているわけで、「その構造等に照らしても、本件テントの所在地を原告の生活の本拠と認定する妨げとなるものではない」としています。
つまり、山内さんのテントはもとより、もっと簡素な住処でも、そこで実際に生活しているかぎり、住民登録が可能であると読み込めると思います。これは、今後の運動の幅を大きく広げるものです。
占有権限についても、「当該場所について占有権限を有するか否かは、客観的事実としての生活の本拠たる実態の具備とは本来無関係というべき」とし、大阪市の「不法占拠だからダメ」という主張を両断しています。
そしてさいごに、「以上のとおり、本件テントの所在地は法にいう住所と認められるから、被告は同所在地を住所とする本件転居届を受理すべきであり、本件不受理処分は違法といわざるを得ない」と結びます。
振り返ってみると、大阪市が繰り返してきた「テントは客観的居住の事実として認められない」という主張にはやはり無理があったということでしょう。山内さんが実際にそこで居住していることは、誰の目にも明らかであるわけですから(実際、裁判に先立つ審査請求の際には、大阪市職員が直接文書を山内さんのテントに持ってきていたりもしました)。
そのうえで、山内さんと私たちが重ねて主張してきたのは、野宿者が住民として認められないことにより、さまざまな権利を奪われているということです。これは、たんなる不利益にとどまりません。
大阪市は野宿者を「住民・市民」として認めず、むしろ積極的に路上・公園から排除し、劣悪な環境の施設と路上を往還させながら徐々に死に追いやっていっているのであり、このようないわば殺人行政の問題性を撃ち、また失業者・野宿者を不断に生み出しつづけると同時に「自己責任=自業自得」「怠け者」のレッテルを貼り、排除しつづけるこの社会のあり方を糾弾していくたたかいこそ、山内さん裁判の本質なのだと考えます(すべての野宿者が形式的に住民登録を一斉に行えば、野宿者問題が解決するわけではありません)。
こうした私たちの問題意識が判決に反映されなかったのはいささか残念ではありますが、今後の取り組みのなかでさらに形にしていければと考えています。
27日、山内さんの判決を受け、傍聴に来ていた大阪城の仲間2人と靱公園の仲間7人が、ただちに中央区役所・西区役所に向かい、住民登録の申請を行いました(区役所は届けを受け取り、あとは結果待ち)。テントが住所=家であると認められたことにより、仲間のテント・小屋を「ゴミ・モノ」のごとく叩き潰し排除しようとする行政代執行の不当性も、より明らかになったと考えます。
30日早朝の強制排除まで、本当に時間がありませんが、代執行の中止と山内裁判の控訴断念を求め、大阪市への働きかけをお願いしたいと思います。
さいごに、このかん、裁判を支えてくださった方々、激励の手紙やハガキ、エールを送ってくださった方々に、心からの感謝を送ります。ありがとうございました!
<支援要請>
1.大阪市へ、山内さん裁判の控訴断念をもとめる要請を送ってください。
(控訴期限は27日より2週間以内です。このあいだが勝負です)
大阪市長 關 淳一(市長室秘書部秘書課宛)
TEL: 06-6208-7231 FAX: 06-6202-6950
〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20
市長室への意見フォーム
http://www.city.osaka.jp/shichoshitsu/iken/index.html
2.靱・大阪城の強制排除阻止行動
1月30日の早朝より、数百人の職員・ガードマン・警察を動員しての排除がおこなわれる見込みです。当日、両公園への結集を呼びかけます。早朝より公園を完全にフェンスで囲い、密室にしてから職員の大部隊がテントを襲い、一軒ずつ潰していく形になることが予想されます。テント防衛に参加していただける方は、できれば前夜(もしくは始発電車で)から現地に集まってください。
また当日、大阪市の行為をできるだけ多くの人々に監視していただきたいと思います。
朝に間に合わない方や、現場の攻防に参加できない方も、公園周囲に集まっていただければと思います。
3.強制排除が開始されたら、大阪市の各部署に「排除を中止しろ!」と抗議を集中してください。
大阪市長 關 淳一(市長室秘書部秘書課宛)
TEL: 06-6208-7231 FAX: 06-6202-6950
http://www.city.osaka.jp/shichoshitsu/iken/index.html
西部方面公園事務所
TEL: 06-6441-6748 FAX: 06-6441-6797
東部方面公園事務所
TEL: 06-6941-1144 FAX: 06-6943-6877
ゆとりとみどり振興局総務部管理課
TEL:06-6615-0643
http://www.city.osaka.jp/yutoritomidori/request/index.html
大阪市市民局
http://www.city.osaka.jp/shimin/opinion/01/index.html
世界バラ会議大阪大会実行委
http://www.worldrose-osaka2006.jp/jp/form/index.html
office@worldrose-osaka2006.jp
FAX: 06-6631-8741
第23回全国都市緑化おおさかフェア実行委員会事務局
TEL: 06-6920-5941 FAX: 06-6920-5971