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大阪市長 関淳一殿
2007年1月22日
抗議文
私たちアイヌ・沖縄を考える会は、「日本」の先住民族問題としてアイヌ民族や沖縄のことを考え、行動していこうという会です。
このたび、大阪市の長居公園で暮らす野宿者のテントが、強制排除の危機にあると聞き、強く抗議の意志を示す次第です。
これまでの「日本」とアイヌ民族の歴史の中で、アイヌ民族は、強制的にもともと住んでいた土地を追い立てられ、生活を変えさせられて、困窮してきました。日本政府はアイヌ民族の生活習慣を「劣っている」と決めつけ、「文明的な」やり方を押しつけました。その結果、新しく建てさせられた家が寒すぎて凍死したり、農業に向かない土地を与えられて耕作に失敗して更に困窮したり、ということが数えきれず起こったと聞いています。住まいや生活を強制的に変えさせられるというのが、死にも至る重大な人権侵害であることを、私たちは歴史を学ぶ中で知っています。
野宿者を「自立していない」と決めつけ、大阪市の想定する「自立支援策」を押しつけようとするやり方は、アイヌ民族に対して取られた非道な政策を想起させます。
現在の「日本」の中で、沖縄には多大な基地の負担が押しつけられています。そして、地元の反対にもかかわらず、政府が強権的に更なる基地を建設しようとする醜悪な姿も目のあたりにしています。
大阪市が当事者と真摯な話し合いをしようともせず、強制排除に踏み切ろうとする姿勢は、それと重なるものです。
そして、アイヌ民族や沖縄の方々と交流を重ねるなかで、私たちは教えてもらいました。「北海道」や「沖縄」は「本州」に比べて失業率が高く、「本州」に出てきて、出稼ぎの季節労働者・日雇労働者になる割合が高いということを。そのなかから、野宿を強いられる方も少なくない数おられるということも。国の統計には、アイヌ民族であるかどうか、沖縄出身かどうかという項目は無いでしょう。ですが、私たちと交流のあるアイヌ民族の方は、野宿者の中にアイヌ民族が多数いると言明されましたし、その言葉を私たちは信用します。
だとすれば、野宿者のテントを強制排除して生活を破壊するということは、私たちが共にありたいと願う方々の生活を破壊することでもあります。
これまで行なわれ、現に行なわれている排除と虐殺を、私たちは容認しません。ひとりひとりが自らが望む生き方が可能な社会を目指したいと思います。
強制排除の手続きを中止し、当事者と充分な話し合いを持ってください。
アイヌ・沖縄を考える会
京都市左京区吉田本町京都大学文学部学友会気付
075-753-2722(呼)
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