2007/01/25

抗議・要望書

06→07越冬闘争に連帯する学生・青年実行委員会
路上と大学をむすぶ有志連絡会・京都
からの、抗議・要望書を掲載します。
扇町での越冬にも、多くの方が参加してくれていました。
-----(以下、抗議・要望書)
抗議・要望書
関淳一大阪市長 殿

2007年1月23日
貴市内長居公園にテント・小屋を立てて野宿生活をしている人々をまたも貴市が強制的に排除しようとしておられることについて、
この強制排除は貧困者に対する横暴な抑圧であるという認識から強く抗議するとともに長居公園のテント・小屋の強制撤去を中止されるよう要望いたします。
長居公園で暮らしている人々は、貴市が有効な雇用対策をとられていない状況のなか、自分の手で仕事を得、テント・小屋を建てて生活されています。
野宿生活を送っている人々はアルバイトや日雇労働、アルミ缶やダンボール回収などの仕事ですでに自立した生活を送られているのです。貴市が用意されるであろう収容と隔離の施設の生活は、真に自立した生活であるとは思えません。
大切なのは理解を持った地域社会との関わりのなかで持続した生活を見出せるかどうかなのです。野宿生活のことだけに関わらず、生活を送るにおいて自分の周りとの人間関係が大切なのはどんな立場の人にとっても同じはずです。
施設に入ることで、求職先でホームレスであるという偏見によって就職できない、仕事に就けたが低賃金のきつい仕事だった、プライバシーがなく苦痛である、施設を出てもまた野宿生活にもどった、といった話を聞きます。これでは、憲法第二十五条で規定される理念に基づいた生活保護法で保障されるべき、「健康で文化的な最低限度の生活」が施設で望めるとはいえません。
そもそも「野宿をしているから」という理由でなぜ施設に入らないといけないのでしょうか?仕事や日常生活をするにおいて家やアパートといった居宅に住んでいることが社会で当たり前だとされることがほとんどであるなか、あなたがたが強制的に公園から排除し施設に入れるというのであれば、野宿生活をせざるをえない人々に対して「大阪市は積極的に偏見を助長する市である」と自ら喧伝することになるでしょう。また、こうした偏見を持った姿勢が野宿生活をしている人たちへの襲撃を煽っていると考えられます。偏見を無くすためには公園での野宿生活を認めるべきではないでしょうか?

長居公園のテント村の人たちはあなたがたのやり方では得られない公園周辺の地域との関係を、地域の人々に耕作した野菜の販売や「大輪まつり」の開催といった文化的なつながりで得てこられました。そして、なかには長居公園の人たちに生活の相談をされる地域住民の方もいるそうです。野宿している人にとっても野宿していない人にとっても、長居公園のテント村はかけがえのない民間の駆け込み寺としての機能を果たしています。長居公園のテント村では地域において文化的な役割を担っているといえます。
文化振興施策を推進され「市民が身近で気軽に芸術活動に親しめるさまざまな文化事業」を取り組んでおられるなら、この必要性がおわかりだと思います。
テント村の前の芝生ではサッカーを、歩道では散歩やジョギングを楽しむ人が多くいるなか、テントや小屋が「適正な公園の利用」を妨げているとは考えられません。「世界陸上」の開催も排除の理由に挙げられていますが、通行の妨げになる場所にテントや小屋があるわけでもなく、もし景観を損ねるというのであれば先にテント村を囲むフェンスをどけるべきでしょう。あなたがたが「適正な公園の利用を妨げる」という理由を主張し強制排除をするということは、公園をあなたがたの私物として占有するためにフェンスやロープを貼るということになるでしょう。

公園から施設への入居の強要は強制的に今の生活と仕事を奪うことを意味しその人が自ら築き上げてきた日常生活を無理やり壊すことになります。これは明らかに人権侵害であり違憲行為です。そうしたことを認めている上での排除は、施設がだめなら凍死を引き起こす寒空のもと路上に人が放り出されるよう強引に仕向けているためとしか思えません。あなたがたが公園で暮らす人たちに対し本人にとっての「健康で文化的な生活」を見出すための方法を提案しない限り、あなたがたによるテントや小屋の撤去への働きかけは一方的な暴力でしかないのです。

昨今の全国的な傾向として、ワーキングプアと呼ばれる不安定雇用層の増加により、いつ野宿生活を送らざるをえないようになってもおかしくないといった人々が増えています。こうした現状は今だけでのものではなく、若年層の派遣労働者が増加している状況とそれに対し実効的な雇用対策が取られない状況を鑑みると(国策として「若者自立・挑戦プラン」の中核的施策に位置付けられたジョブカフェでは、なぜアルバイト情報誌が部屋を陣取っているのですか?)、あなた方が野宿生活を送っている人々に対し「排除か、隔離か」という姿勢を変えない以上、これから先も
苛酷な野宿生活を強いられる人々は増える一方でしょう。その度に貴市はそこで生活している人々の尊厳を踏みにじってまでもテント・小屋を排除するのですか?
貴市が貧困者対策の善き見本となられるよう長居公園の強制排除の中止をせつに願います。

06→07越冬闘争に連帯する学生・青年実行委員会
路上と大学をむすぶ有志連絡会・京都
posted by kamapat at 18:32 | 長居公園代執行